コーヒーブレイク

■コーヒーブレイク

　今年は忙しい一年だった。長男の就職にヤキモキー。進学した次男の一人暮らしが始まった。引越しの手伝いに行った長男が、経験者のアドバイスとして「風呂は節約してシャワーだけにしろ。ストローは必需品。飲み物が多く感じられる。」とストローを買ってくれたらしい。思わず頭を抱えたが本人は至極真面目だ。

　娘は今年2度のフルマラソンに挑戦した。中学から大学まで吹奏楽一筋だった彼女が急に走り始めた理由は、本人にも説明できないらしい。ところが、これが予想外の影響を及ぼした。主人がマラソンに挑戦するという。

　息子達もびっくりポンだ。恐らく、娘と関わっていたい「凄いね」と言われたいといった不純な動機がきっかけだろう。考えが甘いなと思った矢先、案の定ジョギング中に腰を痛めてしまった。本末転倒だ。

　整骨院に行っても改善せず、一週間後には横になるのも難しくなった。これは仕方ない。何故か口ごもってはっきしりない主人を病院に強制連行だ。

　待合室の椅子にも座れない姿が哀れを誘う。順番がきた。こんな楽しそうな場面を見逃すわけには、否、主人を支えるため一緒に診察室に入った。診断は座骨神経痛。ブロック注射を2本打ったら午後には楽になるし、薬だけでも良くなるけれど時間がかかる。

　「どうする？」と先生。どうしたものか「うーん」と主人は返事を渋る。（成程こやつ、注射を恐れておったのか）と納得し「先生。注射でお願いします」と私は妻として懸命な判断を下し、首だけで振り返った主人にニッコリとほほ笑んだ。

　嘘のように良くなった主人は私の意見も聞かず少しずつ走り始め結局参加を決めた。目に見えて楽しげに娘と準備をし私は「無理せんでさっさとリタイヤしていいよ」と送り出した。

　娘は無事完走し、主人は36キロ地点で棄権したが一週間後、また走り始めた。人はいくつになっても成長するのだ。

　家族がそれぞれのスタートをきった今年。その先を順調に進んでいけるよう、私は明るく応援していきたい。

（R)

——————————————

■今宿タイムズ平成28年(2016年)1月1日第400号